男女共同参画学協会連絡会

Japan Inter-Society Liaison Association Committee for Promoting Equal Participation of Men and Women in Science and Engineering (EPMEWSE)

文部科学省・科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成」事業の募集継続と予算枠拡大、および その他の必要な施策等の実現に関する要望

平成18年6月1日
男女共同参画学協会連絡会

 

 平成18~22年度にわたる第3期科学技術基本計画では、人材の育成、確保、活躍の促進が最重要な課題として取上げられています。そのためには、何よりも個々の人材が活きる環境の整備が重要であることは論を待ちません。特に女性研究者・技術者の育成と活躍促進のための環境整備は、少子化対策および女性の更なる能力発揮への期待ともあいまって、これまで長期にわたり懸案の課題でありました。私ども、男女共同参画学協会連絡会では、昨年4月に「第3期科学技術基本計画に関する要望」を提出しましたが、幸いにもその要望のなかのいくつかは、本年度から文部科学省および日本学術振興会の支援事業としてスタートいたしました。

 文部科学省・科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成」事業には採択予定数の3.6倍の大学/研究所が応募したとききます。さる5月24日には、採択された10大学のプレス発表も行われました。これらの大学においては、いよいよ、研究と出産・育児等の両立支援を規定し、環境整備のみならず意識改革をも含めたモデル事業がスタートすることになります。

 「女性研究者支援モデル育成」事業は、我が国の女性研究者の歴史始まって以来の画期的施策であり、大いにその成果が期待されるものであります。今後ともこの事業が定着し、女性研究者・技術者育成の基盤がさらに整備されていくことを願ってやみません。しかしながら、人材の育成も意識改革も、その試みが定着するには十分な時間が必要なことは明らかであります。またわずか10例のごく限られた先導的試みだけでは、その効果があらたな刺激を引き出し全国の諸大学・研究機関に波及・浸透するには十分とは言えません。

 さらに、優秀な人材の継続的育成、確保、活躍促進のためには、何よりも、研究の現場において、若い世代がバランスのとれたキャリア形成とライフサイクルの見通しを持ち得ることが最重要であります。研究者が、男女を問わず、希望すれば家庭を持ち次世代を育むことができるよう、「ワークライフ・バランス」の実現に必要な種々の施策が遂行されてこそ、少子化を食い止め、かつ科学技術の分野に多様で優秀な人材を迎える大きな布石となるはずです。

 そこで、男女共同参画学協会連絡会では、「女性研究者支援モデル育成」事業の募集継続と予算枠拡大、および その他の必要な施策等を可及的速やかに実現するため、以下の5点を要望いたします。

1.文部科学省・科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成」事業の募集継続と予算枠の拡大

 文部科学省振興調整費における「女性研究者支援モデル育成」事業の募集を、本年度のみで終了するのではなく、平成19年度以降も本年度を超える規模で継続すること。また、平成18年度の募集において採択された各大学の採択理由を可及的すみやかに公開すること。

2.子育て中の研究者の現状に見合った育児支援にかかわる具体的施策の推進

1)育児支援資金の創設

日進月歩の変化が著しい科学技術分野においては、育児中も研究・教育活動を継続することを強く望む研究者・技術者が少なくない。今年度よりスタートした「学術振興会・特別研究員RPD」のような復帰支援策も大変重要であるが、研究現場を離れず、研究と育児を継続的に両立させる施策も多くの研究者が望むところである。とりわけ、各機関の育児休業に相当する期間、当該研究者・技術者が必要とする研究、教育あるいは育児のいずれかを、部分的に支援する代替要員雇用のための「育児支援資金」を創設することが急務である。

2)病児保育、病後保育を含む研究機関内託児施設の整備費、運営費の補助

3)「男性の育児休業取得のすすめ」を研究機関の規定に記載すること(勧告)

男性研究者が育児休業制度を利用し難い雰囲気を改善し、ワークライフ・バランスの浸透をすすめること。そのことによって、子供を持ちたくとももてない若手研究者の増加をくいとめること。

 

3.女性研究者・技術者の採用と昇格に対する数値目標の設定と特別交付金

 女性研究者・技術者の基本的人権を尊重した雇用・育成を促進するために、採用、昇格に関する数値目標を設定し、評価基準を公開すること。また、女性研究者割合が一定比率を超えた場合、その機関を男女共同参画特区と定め、その機関に特別交付金を提供すること。また、各研究機関が短期、中期、長期的な数値目標を設定し、進捗を定期的に調査し、公表すること。

4.男女の処遇差を低減するための具体的施策

1)各機関における男女共同参画を推進するために、機関ごとに男女共同参画室を設け、男女共同参画推進やセクシュアル・ハラスメント防止等の専門知識を有する専任の男女共同参画コーディネーターを配置して、質問・相談・提案等(例:苦情)への対応を行う制度の整備を奨励すること。

2)大学・研究機関で男女共同参画推進セミナーを行い、入学、入社、昇進(中間管理職、管理職)の際、定期的に全員に受講を義務づけること。

5.女子学生の理工系学部進学へのチャレンジ・キャンペーンの推進

 女子学生の理工系学部への進学率を高めるためには、小、中、高校生を対象にした実験、講座を含むチャレンジ・キャンペーンが必要である。本年度より、文部科学省の支援を得て、男女共同参画学協会連絡会とともに、女子高校生・夏の学校が2泊3日で計画されているが、このような施策が今後とも長期にわたって継続されるよう要望する。

© 男女共同参画学協会連絡会 2003-2017. All rights reserved.